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若紫二回目

(原文)清げなる大人二人ばかり、さては童べぞ出で入り遊ぶ。
(現代語訳)こぎれいな女房が二人ほど、あるいは少女が出たり入ったりして遊んでいる。
(原文)中に十ばかりにやあらむと見えて、白き衣、山吹などのなれたる着て、走り来たる女子、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひ先見えて、うつくしげなるかたちなり。
(現代語訳)その中に十歳くらいではないかと見える、白い単衣と山吹がさねを着て、走ってきた女の子は、たくさん見えているこどもたちには似るはずもなく、たいそう将来が思いやられて、かわいらしい顔立ちである。
(原文)髪は扇をひろげたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。
(現代語訳)髪は扇を広げたようにゆらゆらとして、顔は泣いて、赤くこすったようにして立っている。
(原文)「何事ぞや。童べと腹立ちたまへるか。」とて、尼君の見上げたるに、すこしおぼえたるところあれば、子ななめりと見たまふ。
(現代語訳)「何事ですか。子供たちとけんかをなさったのですか。」と言って、尼君が見上げたところ、少し似ているところがあるので、尼君の子供のようだと源氏はお思いになる。
(原文)「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを。」とて、いと口惜しと思へり。
(現代語訳)「雀の子を犬君が逃がしたの。」と言って、たいへん残念だと思っている。
(原文)このゐたる大人、「例の心なしの、かかるわざをしてさいなまるるこそ、いと心づきなれ。
(現代語訳)そこにいた女房が「いつものうっかり者が、こんなことをしてしかられるとは、本当に気にいらない。