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雨夜の品定め、頭中将夕顔を語る五回目

(原文)まだ世にあらば、はかなき世にぞさすらふらむ。
(現代語訳)まだこの世に生きていれば、はかなく人生をさまよっているでしょう。
(原文)あはれと思ひしほどに、わづらはしげに思ひまとはす気色見えましかば、かくもあくがらざらまし。
(現代語訳)私がこの女をかわいいと思っていたうちに、女の方にうるさいほどに、しつこく私につきまとう様子が見えたなら、このように女をさすらわせることはなかったでしょうに。
(原文)こよなきとだえ置かず、さるものにしなして、長く見るやうもはべりなまし。
(現代語訳)はなはだしい間も置かず、重く扱う愛人にして、長く世話する方法もあったでしょうに。
(原文)かの撫子のらうたくはべりしかば、いかで尋ねむと思ひたまふるを、今にえこそ聞きつけはべらね。
(現代語訳)あの子供がかわいかったものですから、どうにかして探して求めようと思っておりましたが、今だに聞きつけることができません。
(原文)これこそのたまひつるはかなきためしなめれ。
(現代語訳)この女こそ先ほどおっしゃった頼りない女の例でしょう。
(原文)つれなくてつらしと思ひけるをも知らで、あはれ絶えざりしも、益なき片思ひなりけり。
(現代語訳)女が平気なふうをして、内心は薄情だと思っていたことも、私は知らないで、愛し続けていたのも、私の無駄な片思いの恋でありました。