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雨夜の品定め、頭中将夕顔を語る子四回目

(原文)大和撫子をばさし置きて、まづ塵をだになど親の心をとる。
(現代語訳)幼い子供(大和撫子)のことはさしおいて、まず。「塵をだに」などと母親の機嫌をとりました。
(原文)「うちはらふ袖も露けきとこなつにあらし吹きそふ秋も来にけり」
(現代語訳)たまった塵を払う袖も涙で濡れがちな私のところに、嵐も吹き加わる秋もやってきました。
(原文)と、はかなげに、言ひなして、まめまめしく恨みたるさまも見えず。
(現代語訳)と、なんでもないように言って、まじめに恨んでいる様子は見えません。
(原文)涙を漏らし落としても、いと恥づかしくつつましげに紛らはし隠して、つらきを思ひ知りけりと見えむは、
(現代語訳)涙を漏らして、こぼしても、たいそう恥ずかしく、遠慮深げに、ごまかし隠して、私の薄情さを思い知っていると、私に見られたら、
(原文)わりなく苦しきものと思ひたりしかば、心安くて、またとだえ置きはべりしほどに、
(現代語訳)たまらなく心苦しいことだと思っていましたので、私は気楽に思って、また訪ねない絶え間をおいておりました間に。
(原文)跡なくこそかき消ちて失せにしか。
(現代語訳)女は行方不明になって、姿を消してしまいました。